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国際連合
【東京雑学研究会編】


§「国際連合」という訳は間違っている?

国連の正式名称は「国際連合」。第二次世界大戦後に生まれ国際組織である。
国連の英語の名称は「The United Nations」、直訳すると「連合諸国」となり、「国際連合」という訳は正しくないことになる。
The United Nations」の直訳「連合諸国」という名前から戦争体験世代の日本人には、戦争の相手国を連想する人も少なくない。すなわち日本、イタリアドイツの「枢軸国」と戦った戦勝国のアメリカイギリスフランス、中国、ソ連の「連合国」という名称が直訳の「連合諸国」と似ているからである。
たしかに戦後の平和維持のための国際機構に対し、日本国民が大戦中の敵対国のイメージを持ってしまうのは感心しない。
そういった大戦直後の国民感情を配慮して「国際連合」という意訳された名称が採用されたのだ。
国際連合の成立は、第二次世界大戦の勃発を止められずに、国際連盟が消滅した後、新しい世界機構を作ろうと一九四五(昭和二〇)年四月から六月にかけて開催された「国際機構設立のための連合会議」がきっかけとなっている。このとき、憲章に調印したのが、連合国側の諸国だった。
正式発足は終戦後の一九四五(昭和二〇)年の一〇月。日本、ドイツイタリアの同盟国と戦った諸国が主導して組織されたため、今もアメリカイギリスフランスロシア、中国が安全保障理事国になっている。
日本名の「国際連合」には、公平無私の世界機構といった印象を与える効果が高く、そういう意味では名訳といえる。日本人は欧米人にくらべて国連を美化する傾向があるといわれているが、それは「The United Nations」を「国際連合」と意訳したことによるのかも知れない
いずれにせよ「国連」は主権国家のゆるやかな集まりであり、強力な世界政府ではない。安保理に強制行動は認められているが、加盟国の利害調整のためのフォーラム考えるべきだろう。




東京書籍
「雑学大全」
JLogosID : 12670332