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トルコの風呂
【東京雑学研究会編】


§本場のトルコ風呂とはどのようなものか?

アッラーの神に祈りを捧げるために身体を浄める沐浴は、イスラム教徒の日常の義務とされている。普通のバスタブを使って行われるもののほかに、浴室に暖気を満たして発汗させ、その後に身体を洗う一種の乾燥浴もある。この方法はイスラム世界のいたるところで行われていた。イスタンブールに来たヨーロッパ人がこの入浴法に目を留め、トルコ風呂と呼ぶようになったのである。
ビザンツ(東ローマ)帝国領を征服したトルコ人は、ローマ風の公共浴場の制度を残し、これと古代からオリエントで発達した入浴方法を融合させた。これが「ハンマーム」と呼ばれる、本家本元のトルコ風呂である。
ハンマームには、イスラム教モスク思わせるような外観を持つものもある。中に入ると、まず、マスラハという広間がある。そこからバイトという温室をいくつか通り、最後にハラーラという蒸風呂に入る。構造はすべて石造りで、ドーム状の屋根を持っている洗い場には衝立のような仕切りを設け、ブース状になっている。手荒いほどのマッサージをうけた後、マスラハにもどり、コーヒータバコ楽しむことができる。
浴場はジン(妖精)の好むところと考えられていて、左足から入る決まりになっている。中では、コーランを唱えないのが普通だ。女性も長時間くつろぐことが許されたので、古来、ハンマームはイスラム社会の最良のレクリエーション施設であった。
今日では、垢すりやマッサージをしてくれるのでエステ感覚で利用する人もおり、ヨーロッパアメリカからの観光客でにぎわっている。




東京書籍
「雑学大全」
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