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防弾チョッキ
【東京雑学研究会編】


§防弾チョッキはどういう構造になっているのか?

以前は防弾チョッキは、警官やガードマンその筋の人など、プロフェッショナルたちのものでしかなかった。しかし、海外での企業テロや国内でも犯罪の増加で、一般の人の購入者が増えている。ところで防弾チョッキは、どういう構造になっているのだろう。
一口に防弾チョッキといっても性能はさまざまで、相手の使う銃や弾丸に合わせて選ぶ必要がある。しかし、機動隊の盾とは違って着て歩くものだから、安全性のほかに、軽く行動しやすいことも必要なのは、どんなタイプでも同じだ。
そこで防弾チョッキには、軽くて強靭な超繊維の合成素材が使われることになる。構造的には、ガーメントと呼ばれる着用帯の中に、超繊維でできた防弾素材を入れ、その上スペクトラシールドという緩衝素材を置いている。その二つの素材の組み合わせで、飛んで来る弾丸を止めるわけだ。
代表的な防弾素材といえば、アメリカの化学メーカーデュポン社が開発した超繊維の第一号ケプラー」だろう。ケプラーは同社の開発した「ポリ・フェニレン・テレフタル・アミドPPTA)」という物質を液晶状態にして紡糸し、棒状の分子を同じ方向に向かせたものだ。
銃や弾丸の進歩に合わせて、最近ではケプラーより強い「トワロン」という素材も使われている。トワロンケプラーより細いが、一本ずつラミネート(層状)加工されている。トワロンで作った四ミリのロープ一本で、パトカーも吊り上げられるほど強い。
ワロン防弾チョッキは重量二・五キロとずっしり重いが、その分安心感もある。価格は約一五万円しても、命の値段とすれば高くはないだろう。
なお防弾チョッキは、自動式拳銃やリボルバーの弾は防げても、ライフルの弾までは防げない。拳銃なら密着しての狙撃にも耐えるといっても、貫通はしないだけということで人体に与えるショック大きい。肋骨のひびくらいは覚悟しておいた方がいいだろう。




東京書籍
「雑学大全」
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