中国（政治・経済）

1982年採択された憲法によれば，中国は労働階級の指導する労農同盟を基礎とした人民民主独裁の社会主義国家とされている。78年政府は従来の路線を大きく転換して，政策の重点を近代化に置き，保守派路線を排除しながら経済の対外開放，農村経済改革を進め，国内経済建設を最重要課題としつつ，日本をはじめ欧米諸国，ロシアとの関係推進，韓国との国交樹立など全方位外交を展開している。89年６月市民による自由化運動に対し武力で弾圧（天安門事件），人権問題で国際的な非難を浴びた。2002年11月全人代で，江沢民に代わる国家主席として胡錦涛を選出，新首相には温家宝を指名し，人事を一新した。広大な国土と膨大な人口（世界第１位）をかかえながらも，経済の自由化，開放化が急速に進行しており，特に都市部住民による資本主義化が著しい。主要産業は農業で，穀物，野菜，肉類などの生産は世界一。近年はハイテクなどの工業も急成長している。経済のめざましい拡大が見られる一方，都市部と農村部との経済格差，貧富の差が問題化している。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050028