マカオ（略史）

マカオは，東南アジアを含む極東地方で最古の植民地といわれる。1557年，ポルトガルが倭寇駆逐の功により，明朝から居住権を得たことに始まり，やがてイエズス会布教の活動拠点，中国や日本との交易の窓口となった。当初主権は中国（明，清）に属し，ポルトガルは租借地として地租を納めていたが，19世紀前半，アヘン戦争などで清朝の国力衰退を見てとったポルトガルは，1845年にマカオの自由港を宣言した。さらに1887年12月「マカオ割譲に関する葡清条約」によって中国はマカオの対ポルトガル割譲を確認，法的にポルトガルの植民地が確定した。1951年にはポルトガルの海外県となり，本国に国会議員を選出したが，74年のポルトガル革命の２年後，「マカオ組織章程」が制定されて直轄植民地から自治領に移行し，立法会議が設置された。86年から中国とポルトガルの間で返還交渉が始まり，翌年，「マカオは特別行政区を設置して中国の中央人民政府の直轄下に置き，外交と国防を除き高度の自治を享有する独自の行政管理権，立法権，独立司法権，財政権，および他の国家などと独自に経済，文化関係を結び，マカオ出入境のために旅行文書を自ら発行すること，またマカオは，現在の社会，経済制度，生活様式は変えず権利および自由は法により保障されること」という内容で決着を見，99年12月20日に442年間にわたったアジア最後の植民地が中国へ返還された。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050042