タイ（政治・経済）

1932年人民党による無血革命により絶対君主制から立憲君主制に変わったが，しばしばクーデターが発生し，武断派と文治派の間でたびたび政権の交代が行われてきた。97年新憲法が成立，2001年の選挙でタイ愛国党が圧勝しタクシン政権が成立した。しかし，2006年，株取引疑惑などで政局は混乱し，首相は退陣を余儀なくされた。ASEANの有力な一員で，政府は近隣諸国との地域協力を積極的に進め，同時に日本，米国をはじめとする西側諸国との友好関係の緊密化に努めている。他方，隣接するベトナム，ラオスなどの社会主義国に対しても良好な関係維持に努めている。労働人口の約半数が農業従事者ということが示すように，主要産物は，米，ゴム，砂糖，トウモロコシなどの農産品で，ほかに錫，マンガン，ホタル石などの鉱産物の産出も多い。最近は水産業，また特に製造工業の発展がめざましく，高い経済成長を続けてきたが，知的集約産業への急速な移行や賃金上昇による国際競争力低下から，金融不安，通貨下落など，一転して経済危機にみまわれた。また，都市と地方の所得格差が大きいこともあり，政府は経済成長の維持，所得格差の是正をめざし農業開発に力を注いでいる。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050108