パキスタン（国のなりたち）

紀元前2500年頃からモヘンジョダロやハラッパなどで古代インダス文明が生まれた地で，２～５世紀には大乗仏教の源であるガンダーラ仏教文化が栄えた古い歴史を誇る。イスラム文化は，８世紀シンド地方に侵入したアラブ人によりもたらされ，16世紀以後200余年続いたムガル帝国の下で住民の間に浸透した。1857年，反英運動の原点ともいえるセポイの反乱の鎮圧と同時にムガル帝国は崩壊，77年には英国がインド亜大陸の支配権を確立した。のち独立闘争の過程でヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立が深まり，全インド・イスラム教徒連盟はインド人イスラム教徒の国家「パキスタン」の建設を1940年の年次総会で決議し，47年モハメッド・アリ・ジンナーの指導の下に独立を達成した。このとき，パキスタンはインドをはさみ，東パキスタン（現バングラデシュ）と西パキスタンの２地域からなっていたが，71年に東パキスタンは東西パキスタンの政治的・経済的格差を原因として，バングラデシュの国名で分離独立した。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050122