パキスタン（政治・経済）

４州からなる連邦共和国で，元首は大統領であるが最高行政機関は連邦政府である。イスラム色の強い議会制民主主義が基礎。非同盟主義が基本方針だが，イスラム諸国，西欧諸国，中国とも積極的に関係強化を進めている。過去３回にわたり戦ったインドとも国交を正常化したが，カシミール問題では，2001年７月に首脳会談が行われたが決裂し，解決が先送りされている。核実験を強行してインドに次ぎ７番目の核保有国を宣言した。またアフガニスタンのタリバーン勢力を世界でただ１国承認していたが，01年９月の同時多発テロ事件を受け，反タリバーン軍事行動では米国に全面協力を表明した。経済は，農業とその関連産業が基盤であるため，農業生産高，特に綿花の作柄が経済の動向に大きく影響している。輸出も綿花関連製品，繊維・衣料品が中心であるが，工業部門も伸びつつあり，公営企業のほかに民間経済活動も重視されている。数次にわたる経済５か年計画では農業の開発と近代化を優先し，さらに，経済のイスラム化をめざし，無利子金融制度の導入が図られている。種々の改革と国際支援により経済は大幅に改善している一方，貧困率とインフレの改善が課題である。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050124