フィリピン（政治・経済）

独立後は米国型の大統領制の下に運営されてきたが，マルコス大統領の20年にわたる独裁政治に内外から批判がわき，1986年亡命を余儀なくされた。その後も汚職や，天災，武装勢力の台頭などで次々と政権が変わった。モロ・イスラム解放戦線（MILF），新人民軍（NPA，共産ゲリラ）などによる武力闘争が絶たず，歴代政府は和平実現に努めている。2001年の政権交代により，アロヨ大統領が就任。同大統領は04年にも再選されたが，違法賭博業者からの献金疑惑や選挙不正疑惑などによりクーデター計画が発覚するなど，政情が混乱している。対米友好関係を基軸とした外交を進めてきたが，92年比・米軍基地協定は終了し，米軍は撤収した。近年，ASEAN諸国との地域協力を積極的に推進しており，日本との友好関係維持を含めた多様な外交をめざしている。産業は，農業が中心で，砂糖，ココナツなどを産する。近年では電子・電気機器などの輸出が増えている。また，銅，金，銀，ニッケルなどの資源も豊富で，大規模なニッケル開発事業は注目を集めている。このほか観光も重要な産業となっている。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050148