ミャンマー（政治・経済）

軍事政権は総選挙を実施して民政に移行することを約束しているが，国民民主連盟（NLD）の指導者スー・チー女史を1990年から軟禁している。しかしスー・チー女史を支持する国民の民主化要求は強く，一方カレン族など少数民族の反政府暴動など，人権問題で国際的批判を浴びており，政情は安定していない。憲法は停止中で議会も廃止されている。最高決定機関は国家平和発展評議会（SPDC）で，SPDCが任命する内閣が行政を行う。世界各国は民主化，民政移行の早期実現を求めて武器禁輸，貿易・経済制裁などを行ってきたが，97年ASEANは加盟を認めるなど各国の対応にはばらつきがある。2003年のスー・チー女史拘束により，米国は対ミャンマー制裁法を新たに制定，04年EUは民主化の進展が見られないとして，制裁措置の強化を決定している。なお，05年11月よりヤンゴンから320北のピンマナへ首都機能の移転を始めている。全人口の80％以上が農村地域に住み，就業人口の60％以上が農業に従事し，農業主体の産業構造である。工業も農産物を原料とする食品，繊維工業が中心で，政府は農業部門の開発に力を注いでいる。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050187