イエメン(政治・経済)
1990年5月南北イエメンが統合されイエメン共和国が樹立した。その後も旧南北両勢力の間で内戦が起こっていたが,統一維持の形で終息,サーレハ現政権の基盤は安定した。部族勢力,イスラム原理主義勢力に配慮しつつ,近代化と国内経済再建を進めていくことが今後の課題となっている。外交では,アラブ民族主義に基づき,アラブ・イスラム世界との連帯強化をめざす。国境問題などでぎくしゃくした関係にあったサウジアラビアとも関係修復を果たし,周辺国とのさらなる友好関係の増進に力を注いでいる。経済構造調整,民主化,テロ対策を推進し,欧米諸国との関係を改善,特にテロ対策を通じ,米国との関係を強化している。伝統的に農業国でトウモロコシ,大麦,果物,コーヒーなどが生産され,また漁業も盛んである。出稼ぎ送金と外国からの援助に支えられているが,厳しい経済状況にある。開発が進められていた石油とその関連製品が,現在では輸出の9割以上を占めている。天然ガスも確認されており,外国市場への参入の可能性を探っている。
| 東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050227 |