イスラエル（国のなりたち）

紀元前11世紀から紀元１世紀にかけ，パレスチナの地にユダヤ人による王国が栄えていた。ローマ占領後の135年，エルサレムを追われたユダヤ人は祖国を失い，約1800年間にわたって「ディアスポラ（離散）」の生活を余儀なくされた。その間，パレスチナの地はイスラムやオスマン・トルコなどが支配したが，第一次大戦中の1917年，英国外相バルフォアがパレスチナの地にユダヤ人国家を認める宣言を発したため，祖国復興への期待は一気に高まった。20年トルコの崩壊で英国の委任統治領となり，47年11月の国連総会ではパレスチナをユダヤ，アラブ両国家に分割する案を賛成33，反対13，棄権10で可決，翌48年５月イスラエルの暫定国会は国家の独立を宣言した。イスラエル建国はユダヤ人とアラブ人の対立を激化させ，独立直後から双方は４度の戦いを繰り返し，そのたびにイスラエル側が勝利し占領地にユダヤ人入植地が推進された。第４次中東戦争（73年）後からアラブ諸国と和平に向けての話し合いが始まり，93年にパレスチナを代表する組織「パレスチナ解放機構（PLO）」と相互承認し，アラブ人と和解する政策へと転じた。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050233