イスラエル（政治・経済）

共和制で元首は大統領であるが，実権はほとんどない。成文憲法はなく基本法に基づき，政府の機能は絶大である。国会はクネセトと呼ばれる一院制で，政党は数多く，内閣は複数政党による連立で組織されるのが通例となっている。中東和平プロセスは，オスロ合意の締結，ヨルダンとの和平条約締結などにより一時関係改善が見られたものの，2000年パレスチナとの衝突発生以来，同プロセスは停滞していた。01年から政権の座に就いた右派リクードのシャロン首相は，02年には西岸地区に分離壁を築くなどパレスチナに強硬政策をとった。一方，05年１月アッバースがパレスチナ自治政府大統領に就任して以降は，ガザ地区からの撤退，さらに11月リクードを離党，中道新党カディマ（前進）を創設するなど，和平前進に向けた動きを見せた。しかし， 05年12月シャロン首相は脳梗塞により緊急入院，事実上引退した。なお，06年３月の総選挙ではカディマが躍進した。主要産業は柑橘類，ダイヤモンド研磨，繊維などで，近年は医薬品，ハイテク立国をめざすが，国家予算に占める膨大な国防費により経済全体が圧迫を受け，国際収支は恒常的に赤字である。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050235