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イラク(政治・経済)


イラクは対イスラエル問題については従来強硬派に属し,第3次中東戦争(1967年)以降は反西欧色を強める一方,ソ連に接近して,軍事・経済関係を深めた。他方,80年から始められた対イラン戦争がイラク側に不利に傾き,フセイン大統領の威信にとって大きな打撃となった。こうした背景のもと,90年8月イラクは突如クウェートに侵攻して同国併合を宣言,米国を主とする多国籍軍と全面戦争に突入した。さらに国内のクルド人問題も加わり,対米関係のみならずアラブ社会内でも孤立,国連および国際社会から経済制裁を受けた。また97年以降,イラク大量破壊兵器開発疑惑をめぐる国連の査察問題で米国と激しく衝突,国連決議を求めた仏独ロシアなどの反対を押し切り,2003年3月19日,米英を中心とする軍隊が攻撃を開始,79年以来続いたフセイン政権は崩壊した。その後,英米を中心とする外国軍が,治安回復,復興などの目的でイラク内に駐留。04年新憲法を制定,05年イラク国民議会選挙が実施されるなどの和平へ向けた動きがある一方,その間も,外国人の拉致・殺害,爆撃事件などが後を絶たず,また,シーア,スンニー両派の衝突が激化するなど,治安は悪化の一途をたどり,駐留していた外国軍の撤退も始まっている。住民は農業,牧畜に従事し,鉛,銅などの資源もあるが,何といっても世界有数の石油生産が国の経済を支えている。しかし対イラン戦争,湾岸戦争,国際経済制裁イラク戦争などにより,極端な物資不足,超インフレに陥り経済は壊滅状態である。




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「世界各国要覧」
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