カタール（政治・経済）

アル・サーニー家の世襲首長による絶対君主制である。首長が指名する35名のメンバーで構成される諮問評議会が存在する。ハマド首長就任後，自由化・民主化を推進，2003年４月には18歳以上の男女が投票し，三権分立を定めた恒久基本法を国民の信任投票で採択した。イスラム世界との連帯，平和愛好国との友好関係維持を２本の柱としている。バーレーンとは小諸島をめぐる領有権問題，サウジアラビアとは国境問題をかかえていたが，2001年決着している。また，イラク戦争では米中央軍の前線司令部を受け入れている。中東和平問題では，パレスチナの立場を支持しつつもイスラエルとも接触，同問題の平和的解決を支持している。かつては牧畜，漁業，真珠採取が主産業であったが，現在では産油国として大いに潤い，ハリーファ首長は豊富な石油収入を背景に経済社会改革に着手し，湾岸地域での金融・情報センターを志向して石油輸出一辺倒の経済から脱皮する国造りに努力している。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050267