サウジアラビア（政治・経済）

国王は首相を兼ね，国政はイスラム法（シャリーア）に基づいて行われ，立法権，行政権は国王と国王の任命する内閣に属する。2005年に地方議会選挙を実施。05年８月，アブドッラー皇太子が国王に就任した。内閣については，ほぼ全閣僚が留任している。広大な国土のほぼ全体が不毛の砂漠であるが，地下に豊富な石油資源を持ち，“石油に浮かんだ国”といわれ，アラブ諸国中で最も富んだ国である。膨大な石油収入をもって国内の産業開発に向ける一方，アラブ諸国に援助を行い，アラブ世界の中の穏健派の指導国家となっている。90年の湾岸危機では米軍とともに多国籍軍の中心となってイラクと戦い，戦争には勝利したが，国内経済，またアラブ社会の今後の主導権に問題を残した。国内の一部保守派による王族批判も出ている。2001年９月の米国同時多発テロ事件を受け，米国の報復攻撃を支持，アフガニスタンのタリバーン政権と断交した。また，イラク戦争でも米国に協力した。しかし，イラク戦争以後，国内のテロ組織は活発化，また未拘束のテロ指名手配犯もいるため，潜在的なテロの脅威が存在する。なお米国同時多発テロ事件の容疑者ウサマ・ビン・ラディンは同国出身（国籍は剥奪）である。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050291