シリア（国のなりたち）

“考古学のメッカ”といわれる遺跡に富んだ地で，首都ダマスカスは『旧約聖書』にも記されている世界最古の都市の１つである。紀元前12世紀頃セム系アラム人の王国が開け，前４世紀にアレクサンドロス大王が占領。前３世紀シリア砂漠に“砂漠の花嫁”と呼ばれた都市国家パルミラが興り，東方貿易の中継地として栄えたが，のちローマの治下に入った。７世紀イスラム教の出現でアラブ人の征服と布教によって，アラブ世界に吸収。1516年以降はオスマン・トルコに領有されたまま，第一次大戦末の1918年まで続いた。1920年，ファイサル国王の下にシリア王国がつくられたが，数か月後にフランス軍が進駐し，その委任統治下に置かれた。完全独立を達成したのは1946年。独立前後から台頭した革新的な政党のうち，バース党と社会党が結合して「アラブ復興社会主義党（俗にバース党）」を結成，支配政党となった。宿敵イスラエルとは，48年から73年まで計４回戦うことになり，南西端のゴラン高原はいまだに占領されたまま。その間国内では保守・革新勢力の対立が激化し，63年の軍部クーデター，66年のバース党過激派のクーデターなどが繰り返された。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050297