パレスチナ(略史)
ユダヤ教とキリスト教の発祥地エルサレムを中心とするパレスチナは,古代にはイスラエル王国が繁栄した。紀元前63年にローマの属州となり,反乱を続けた結果,135年にユダヤ人たちはエルサレムを追放されて祖国を失い,世界各地へ離散した。あとにはアラブ人が住みつき,かれらは今日パレスチナ人と呼ばれる住民となった。1917年,パレスチナにユダヤ人国家をつくるシオニズムを支援するという英国のバルフォア宣言が出されると,世界中からユダヤ人の帰還が始まった。47年国連がパレスチナをユダヤ国家とアラブ国家に分割する決議案を可決してイスラエル建国の流れは一気に加速,翌48年5月にイスラエルが建国される一方で,アラブ人すなわちパレスチナ人たちは難民と化し,周辺のアラブ国家に流出した。以来イスラエルとアラブ諸国との間の4度にわたって中東戦争が繰り返されたが,いずれもイスラエル側が勝利。64年にはパレスチナ解放をめざす政治組織「パレスチナ解放機構(PLO)」を結成,「パレスチナ民族評議会(PNC)」も活動を始めてパレスチナ人による国家再建運動が始まった。
| 東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050321 |