ヨルダン・ハシミテ(国のなりたち)
古代から,バビロニア,インド,エジプト,ローマを結ぶ交通の要衝として知られてきた。のちイスラム諸王朝の支配を経て,20世紀初めまではオスマン・トルコの一部であった。第一次大戦当時,イラクからパレスチナに至るいわゆる「肥沃な三日月地帯」は分割され,フランスは現在のシリアとレバノンを委任統治とし,英国はパレスチナ,イラク,ヨルダンを委任統治下に置いた。1923年英国は現領域に旧ヘジャズ王国を統治した名門ハーシム家のアブドゥーラによる首長国をつくり,初めて国としてまとまった領域を形成した。46年トランス・ヨルダンの名で独立を達成。48年第1次中東戦争では東エルサレムを含むヨルダン川西岸地域を占領,自国に編入して現国名に改称したが,67年第3次中東戦争でこれらの地域をイスラエルに占領され, 88年に統治権を放棄。以来「パレスチナ解放機構(PLO)」の後ろ盾となりながら中東和平に積極的に介入,94年6月イスラエルとPLOのパレスチナ暫定自治合意が成立すると,ヨルダンはイスラエルと平和条約に調印して国交を樹立した。いまも国内には,多くのパレスチナ難民を抱えるなど課題も多い。
| 東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050328 |