フィジー諸島（政治・経済）

英連邦に加盟し，英国女王を元首として独立したため，当初はサコンボゥ国王の子孫が総督として女王の権限を行使し，1987年までは南太平洋諸国の有力な１国としてそのリーダーシップを確立していた。独立以来政権を担当したマラ首相は「パシフィック・ウェイ（太平洋的なやり方）」を提唱し，内外政治の両面にわたり，強力な指導力を発揮してきた。しかし，87年５月の総選挙において，インド系住民を母体とする政権が成立，フィジー系住民の不満が爆発し，クーデターが発生，マラ首相が引き続き政権を継続するとともに共和制を宣言，英連邦からも脱退した。97年に憲法を改正して英連邦に復帰したが， 2000年フィジー系の武装勢力が議会を占拠するなどの事件が起き，ガラセを首班とする暫定文民政権が発足。01年総選挙の結果，ガラセが首相に就任，内政は一応安定した。ガラセは組閣時に第二党のフィジー労働党（FLP）出身者を含めなかったことに対し長い論争が続いたが，04年決着した。国会は二院制で上院32名と下院71名からなるが，議席はフィジー系とインド系で定数配分が決まっている。主要産業は，砂糖，観光，衣料，コプラ，鉱業（金）で，最近では軽工業も発達している。2000年は国会占拠で経済制裁を受けマイナス成長であったが，01年には回復している。政府は砂糖価格の安定化を図るとともに，香港同様に同国をフリーポートにして観光客誘致に努めている。また目下漁業と林業の開発に力を注いでいる。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050439