アイスランド（政治・経済）

アイスランドの国会は，930年にスタートした世界最古の国会で，上院と下院からなっていたが，1991年10月から一院制となり63議席，住民の直接選挙で選出される。大統領は名目的な行政・立法権を持ち，民選国家元首である。政府は歴史的に連立政権になることが多い。2004年，85.6％の高得票率で現職のグリムソン大統領が３選された。非核・非武装国家であるが，49年にNATOに加盟，北辺警戒の拠点になっている。外交では北欧諸国との関係が緊密で北欧理事会の創設メンバーでもある。EUには加盟しておらず，漁業水域保全の立場から加盟には消極的である。59年以来３度英国との間で「タラ戦争」を引き起こした。経済の最大基盤は漁業で，漁業により国民は豊かで高水準の生活，そして福祉国家を築き上げた。輸出の約50％を水産物が占め，魚加工業の設備もよく整っている。農業は牧畜が主で，農地は全土の１％以下のため農産物は多くを輸入に頼っている。また，氷河からの豊富な水量を利用した水力発電も行われ，この安価な電力を利用したアルミ精錬も重要産業である。近年石油依存度を減らすため地熱発電の開発が世界に先がけて進められている。経済情勢は好調で，国際競争力は世界第４位，ヨーロッパでは１位とする統計もある。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050478