オーストリア（国のなりたち）
中世初め頃まで諸民族の往来の激しい地であったが，788年にフランク王国のカール大帝が東方辺境伯領を築いたことで軍事的要衝として注目されるようになった。1278年以降は神聖ローマ帝国を世襲したハプスブルク家の領地となって栄え，16世紀になると“日の沈むことなき帝国”として文学・芸術が高度に発達した。18世紀には女帝マリア・テレジアにより国力を充実させたが，対ナポレオン戦争に敗れて神聖ローマ帝国は消滅，以後はオーストリア帝国の名のもとに再出発した。19世紀前半は宰相メッテルニヒの奔走もあって安定を取りもどし，芸術・科学・経済などの分野で優れた業績を生み出してヨーロッパの一大中心地として繁栄。1867年新たにオーストリア・ハンガリー連合帝国の二重国家を形成したが，第一次大戦に敗れて国家は解体し，王制から共和制に移行。ナチス・ドイツと併合したのち，第二次大戦で米英仏ソの４か国に占領され，1955年に至ってこれら４か国と国際条約を結び，自ら中立宣言を行うことを代償に主権を回復した。
 | 東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050507 |