ギリシャ(政治・経済)
元首は大統領で国会により選出される。行政権は首相に集中しており,大統領権限は担当大臣の副署がなければその行為は無効とされる。1981年に初の左翼政権が誕生して以来,激しい左右対立がギリシャ政治の特徴となっている。2004年新民主主義党が勝利を収め,11年ぶりに政権に復帰。当初警備治安面が不安視されていた04年アテネ五輪を成功させ,今後の経済発展につなげる政策を進めている。NATOおよびEUの一員である。キプロス問題およびエーゲ海の領海,領空,大陸棚の領有権問題をめぐって多年トルコと激しく対立している。キプロス問題では02年国連の和平案に一時は双方が合意したが,その後決裂,今後も紆余曲折が予想される。またマケドニアの独立にともなう国名問題で同国と紛争状態にあるが暫定名称を認めている。経済的には,タバコ,綿花,果実,ワイン,特にオリーブ油の生産が主要産業であるが,近年製鉄,造船,石油精製などの重化学工業も発展してきている。世界有数の海運国で,世界の登録商船のうちギリシャはほぼ3分の1を保有している。しかし経済基盤の後進性,中小企業の占める割合が高いことを原因とする競争力の弱さなど脆弱な体質を有する。現在の最大課題はインフレの抑制である。
| 東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050525 |