サンマリノ（政治・経済）

憲法は1600年に制定された「国法」である。かつて政治は，各家族の長が集まって相談する「アレンゴ」という集会で行われていたが，人口の増加などにより，近代的政治機関である大評議会がこれにとって代わった。評議員は，国民の直接選挙で選出され，任期は５年である。この評議員の中から，毎年３月と９月に２名の代表が選ばれ執政官となる。執政官の任期はわずか半年であるが，その期間は国家行政の最高責任者（国家元首に相当する）と政府代表者（首相）となる。また行政権は執政官と10人の閣僚からなる国家会議が執行しており，その政治はイタリアの政局を直接反映している。外交面では，1861年以来，米国，イタリアの２国と友好善隣条約を結んでいるが，毎年イタリア政府から一定額の財政援助金を受けるなど，特にイタリアとは深い関係にあり，イタリアの保護国に近い様相を呈している。ちなみに，サンマリノへの入国は審査も税関検査もなく自由である。世界約90か国と外交・領事関係を持っている。60以上の国際条約に加入している。またEUには加盟していないが，イタリアとともに欧州単一通貨ユーロを採用している。主な産物としては，ブドウ酒，小麦，卵，チーズなどがあるが，財政上のいちばんの収入源は切手の売り上げと観光収入である。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050542