スイス（政治・経済）

スイスは23のカントン（州）からなる（うち３州はそれぞれ２つの準州に分かれる）連邦共和国である。カントンはわが国の県とは全く異なる自治体で，各カントンは憲法に規定された主権を持ち，独自の法律，議会，政府を持つ政治活動の中心体である。連邦と大部分のカントンは，間接民主制を採用し，現在直接民主制は５州だけである。また，政治制度と並ぶスイス固有の制度として国防上の永世中立および国民皆兵制がある。20～50歳の男性は定期的兵役義務を負い，退役後も一定の軍事訓練を受ける。2002年３月国民投票により国連への加盟が可決され，９月の国連総会で承認された。中立政策は加盟後も維持する。なお，1992年にEU加盟申請を行ったが，加盟の早期交渉開始を求める2001年の国民投票で約８割が反対，いまだEUには加盟していない。また，長年の永世中立による政情の安定を背景に，工業化を推進し輸出の増進に努めて，スイス国民は世界最高レベルの生活水準を享受している。豊かな外貨資産と観光資源，優れた調査・金融機関の存在により，スイス・フランはドル，ユーロに劣らぬ重要な国際通貨となっている。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050550