スペイン（国のなりたち）

先住民はイベロ人といわれ，ケルト，フェニキア，ギリシャの諸民族が移住したのち，ローマ帝国の属領として栄えた。５世紀にゲルマン系ゴート族，８世紀初頭にイスラム教徒がそれぞれ侵入して王国を形成。以来，キリスト教徒によるイスラム追放運動（レコンキスタ）が続き，1479年キリスト教徒が統一国家スペイン王国を樹立，1492年にはイスラム教徒を追放して全土を統一した。直後，海外に進出して新大陸に広大な植民地を有する世界大帝国として黄金時代を迎えるが，その原動力の主因は対イスラム抗戦により高められた強烈なカトリック信仰であった。18世紀以降は，英国，フランス，オランダとの戦いに敗れ，さらに王位継承戦争，中南米植民地の相次ぐ独立，米西戦争などを経て国力は急速に傾いた。1931年に王制を廃して共和制となったが，36年フランコ将軍を中心とする右翼勢力が反乱を起こし，スペイン内戦が勃発。右翼側の勝利によってフランコ独裁体制が現出し，それは36年間も続いた。フランコ死後の75年，かねて元首になることが決定していたフアン・カルロス１世が即位して，王制が復活。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050563