ドイツ（国のなりたち）

４世紀後半からの民族大移動の流れの中で定着したゲルマン人が，今日のドイツ人の直接の祖先といわれる。９世紀にフランク王国の一部となり，王国崩壊とともに世俗諸侯や高位聖職者が統治する封建国家の神聖ローマ帝国の時代に入る。のちルターの宗教改革，農民戦争，30年戦争などの混乱期を経て，北方の雄プロシアの力の増大にともないドイツ民族意識が高まり， 1871年，ビスマルクによるドイツ帝国の発足で政治統一体としてのドイツが成立した。1918年に第一次大戦に敗れて帝政を廃止，翌年ワイマール共和国が成立したが，世界恐慌という異常事態の中でナチス政権が誕生し，それは第二次大戦の敗北まで続いた。戦後は米・英・仏・ソ４か国の占領地区に分割されて戦後処理が進められた中で，49年５月にボンを首都とするベルリンを含む西側占領地区にドイツ連邦共和国（西ドイツ）が成立，ソ連占領地区も同年10月に東ベルリンを首都としてドイツ民主共和国（東ドイツ）が誕生した。東西冷戦時代には２つのドイツは激しく対立し，61年８月には「ベルリンの壁」も築かれて断絶状態にあったが，東側世界の民主化運動を背景に90年10月東ドイツは西ドイツに吸収される形で統一が実現。新国家は国名，国体，そのほか国旗・国章・国歌も旧西ドイツのものがそのまま引き継がれ，旧東ドイツの領土と住民を全て統合した16州から構成される連邦国家となった。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050579