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バチカン(政治・経済)


バチカンという言葉は,通常,宗教機関としての法王庁と領土的なバチカン市国両方の意味に用いられているが,法王を首長とし世界のカトリック教会支配する法王聖座と,法王を国家元首とする普通の独立主権国家たるバチカン市国という聖俗両面の総称であり,それぞれが国際法上の主体として認められている。法王と宗教事務の中央執行機関を一体として法王庁と呼び,法王を補佐する機関として,枢機卿会と外交および教会行政指導をつかさどる国務省をはじめとする11省が置かれている。2005年ヨハネ・パウロ2世が逝去し,ドイツ出身のベネディクトゥス16世が第265代法王として即位した。バチカンは諸外国と外交関係(現在178か国)を持ち,国連にもオブザーバーを派遣している。軍事力,経済力を持たない外交の目標はキリスト教の正義に基づく世界平和の確立,人心道義の高揚にある。また教会の近代化,諸教会の一致が図られ,ラテン語によるミサに現代語の使用を認めたり,平和問題や社会問題への発言が見られるようになった。財政は切手,コインの販売のほか全世界の信者からの特別献金などにより,無関税かつ内国税もない。




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「世界各国要覧」
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