フィンランド（政治・経済）

元首である大統領が強力な権限を持っており，基本的な政治の方針を決定する任を負うとともに，首相や閣僚を任命する。2000年，ハロネンがフィンランド初の女性大統領となった。06年１月再選を果たしている。政治的特徴は，絶対多数党がなく10政党にのぼる小党分立状態にあることで，独立以来，政府は連立または少数党の内閣で，かなりひんぱんに内閣交替がある。フィンランドは地理的に東西ヨーロッパの接点にあるので，対外的には，自己の歴史的経験をふまえて国際紛争の圏外に立つこと，親ロシア中立外交を基調に，1995年１月からはEUに加盟して，東西両陣営に対するバランスを維持している。北欧で唯一，当初より通貨はユーロを採用している。経済面では，失業率が高く（2004年8.8％）最大の懸案となっている。産業は，伝統的に木材産業が盛んで，国際的定評を得ているが，戦後産業構造の改善が進められ，金属・機械工業の比重も高まっている。輸出は紙・パルプ，木材のほか，電気機器，繊維，化学，金属などの製品で，砕氷船などの特殊船，紙・パルプ関連機器，林業機械などは国際競争力を持つ。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050605