フランス（政治・経済）

大統領は強大な権限を与えられ，首相や閣僚を任命すると同時に国家の体制を維持し，基本的な政治の方針を決定する任を負っているが，政策の具体的な実行は首相の率いる内閣が行う。大統領の任期は７年で，直接選挙で選出される。近年，フランスの政治は左右伯仲が特色であったが，1981年以来たびたび大統領と内閣との，保革共存（コアビタシオン）が見られる。外交の基本は西欧，特にドイツとの連帯の維持・強化，EUの統合推進，第三世界・南北問題重視，人権・人道面の重視である。2002年アフガニスタン攻撃には派兵，03年イラク戦争には反対した。05年欧州憲法を国民投票で否決，EU各国に衝撃を与えた。西欧最大のイスラム人口を抱え，アラブ寄りの姿勢を示すことが多い。豊かな農業の伝統を持ち，西欧第１位の生産高の小麦などを産出するが，現在では農業のGDPに占める割合は小さく，代わって，鉄鋼，自動車，航空機，化学品などが主要産業となっている。移民の子孫や若者の失業率が高く，しばしば衝突が起きている。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050613