マルタ（政治・経済）

マルタ共和国の元首は大統領で，政治は議院内閣制によっている。議会は定員65名の一院制で，首相は議会の承認を得て大統領が任命し，他の閣僚は首相の推薦により大統領が議員の中から任命する。1971年以来政権の座にあった労働党政権はそれまでの英国寄りの姿勢から非同盟・中立路線に転換し，一時北アフリカ，アラブ寄りの姿勢を示した。しかし87年，親西側路線，自由主義経済路線に復帰している。世界的不況のあおりを受けて経済情勢が悪化した時期もあったが，近隣EU諸国との関係を深めるとともにEU加盟を申請，2004年からの加盟を認められた。マルタは人口過剰に加え，資源が乏しく工業立地条件がよくないため，造船，船舶修理業が発達しているほかはめぼしい産業はなかった。このため経済は，英軍基地とその造船所および観光に大きく頼ってきたが，79年３月英・マルタ防衛取り決めの期限が切れ，英軍基地が撤廃された。近年は半導体など産業の多様化，高度化に努力し，実質GDP成長率は高い成長率を維持，インフレ率の抑制にも成功している。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050637