チェコ（国のなりたち）

紀元５世紀前後からスラブ人の移住が始まり，７世紀には初の統一連合国家サーモ国が創建された。くだって９世紀に大モラビア帝国が栄えたが，10世紀初めに遊牧民のマジャール（ハンガリー）人の侵入を受けて滅亡。侵入の影響が軽微だったボヘミアには神聖ローマ帝国内でボヘミア王国が成立，14世紀にはカール４世が神聖ローマの皇帝位を得るなど中欧最大の国家として黄金時代を迎えた。16世紀からはオーストリア帝国に組み込まれてゲルマン化が進められたが，第一次大戦でオーストリア・ハンガリー帝国が崩壊すると，1918年にスロバキアとともに新生チェコスロバキアを発足させた。のち，ナチス・ドイツ軍に占領され，第二次大戦後は再びスロバキアと統合して独立が復活。68年の「プラハの春」と呼ばれた自由化路線の闘いを経て，89年ソ連・東欧の民主化の波にのり「ビロード革命」と呼ばれた無血の政権交代で社会主義体制から離脱，市場経済体制へ移行した。90年国名をチェコ・スロバキア連邦共和国と改称して連邦制の強化を図ったが，スロバキアとは経済格差や経済改革への政策の違いから対立が浮き彫りとなり，93年１月連邦を解消して単独国家として再発足した。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050675