ブルガリア（国のなりたち）

先住民はトラキア人といわれているが，その後も諸民族の争奪の地となった。７世紀に北方から侵入したブルガール人が建国，領土を拡大して大帝国を築き上げた。11世紀初めにビザンチン帝国が領有，1186年王国を再建，1393年からはオスマン・トルコ帝国の支配下に入った。めまぐるしい支配者交代の間に，再三戦禍に巻き込まれ，多くの領土を獲得し失った。1878年露土戦争の結果，トルコ支配から解放されたが，実態はロシア主権下の半独立国で，1908年の国王即位によって完全独立を達成した。第一次大戦はドイツ側に立って参戦したが，敗れて領土の一部を失い，第二次大戦も枢軸側で参戦した。44年に左派勢力の「祖国戦線」が蜂起し，政権は同戦線の手に落ちて戦いを中止。46年人民投票により王制を廃止して人民共和国を宣言，以来，一貫して親ソ寄りの共産党による独裁体制のもとで，強権政治が続けられた。89年，環境保護を訴える市民団体「エコグラスノスチ」の集会がきっかけとなり，国民の間に民主化要求が高まり，共産党独裁体制が崩壊した。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050699