セルビア・モンテネグロ(国のなりたち)
6世紀頃から定住を始めた南スラブ系民族は,ビザンチン帝国の支配下で各地に小国をつくり始める。1168年ビザンチンの弱体化にともないセルビアが独立を達成,14世紀にはバルカン最大の強国となったが,1389年にコソボの戦いに敗れて,セルビア地域はトルコの支配下に組み込まれた。19世紀になってセルビア人蜂起やナポレオン戦争の結果,1830年にセルビア自治公国として独立,78年にはセルビアとモンテネグロは王国として完全独立した。第一次大戦後,南スラブ系民族が統合したセルビア・クロアチア・スロベニア王国の発足に主導的立場で参加。のち同国はユーゴスラビア王国と改称した。第二次大戦ではナチス・ドイツに侵入され,チトー率いるパルチザン共産軍がほぼ独力で解放,戦後は新生ユーゴスラビア連邦人民共和国の一員として参加。チトー死後,ソ連崩壊と民族主義の高まりのなか,1991年スロベニアとクロアチアが連邦からの分離独立を宣言,マケドニアとボスニア・ヘルツェゴビナがこれに続いたため,セルビアとモンテネグロ2国は92年に新たにユーゴスラビア連邦共和国を発足させた。2003年2月,連邦改編によりセルビア・モンテネグロと国名を改称,73年にわたるユーゴの歴史に幕を降ろした。
| 東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050716 |