ベラルーシ(政治・経済)
大統領に権力が集中しており,内政的には市場型自由経済体制への移行を進め,複数政党制による西欧型社会の建設をめざしているが,ロシアとの統合を一貫して推進している。1996年ロシアと共同体創設条約を締結,97年にはさらに両国が連邦を結成する条約に調印,政治・経済・軍事の各分野でロシアと一層の統合をめざすとともに,2005年までに統一通貨導入などを盛り込んだ「新連邦国家創設条約」に99年12月調印した。しかしこうした政府の政策に対して国民の間には反対する意見も多く,最近しばしば大規模な抗議行動が発生している。また,01年および06年の大統領選挙,03年議会選挙ともに,民主的選挙のための国際基準が満たされていなかったとして,欧米諸国は批判している。元来は農業国であったが,第二次大戦後は機械工業や消費財産業を中心に工業化が進み,農業機械,金属工作機械などのほか,最近はコンピュータなど電子産業の分野で発展を見ている。その他化学繊維や食品加工業も盛んであるが,エネルギーなどの資源はほとんどなく,ウクライナ,ロシアなどからの供給に頼っている。国土の3分の1は農耕地で,ジャガイモ,亜麻などを生産,養豚も行われている。しかし市場経済化移行の遅れで経済は悪化しており,対外為替相場は著しく下落し,2000年1月, 1,000分の1のデノミが実施された。
| 東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050843 |