エルサルバドル（国のなりたち）

マヤ文明圏の南端に位置していたが，1524年スペイン人が侵入。28年には正式に植民地統治を開始し，キリスト教化，教会，学校の建設などに着手した。19世紀初頭，３度におよぶ独立運動はいずれも失敗に終わったが，1821年グアテマラ総督領の一部としてスペインから独立を宣言。23年に中米５か国の間で創設された中央アメリカ連邦の発足に参加したが，連邦解体後の41年暫定的に独立。56年正式に独立を果たすが，クーデターや隣接国との紛争などで不安定な状態が続いた。1931年クーデターでマルティネス軍事政権が誕生，以後13年間の軍政時代では政情はひとまず安定した。その後，相次ぐ政権交代やホンジュラスとのサッカー戦争などを経て，70年代後半からは極左ゲリラの動きが活発化，経済や治安状態は極端に悪化して，激しい内戦状態に突入。92年，国連の仲介による和平協定の締結と停戦が実現するまで内戦は続いたが，エルサルバドルは中米紛争の台風の目といわれ，ほぼ20年にわたるゲリラ戦で集団殺りくやテロによって多くの犠牲者を出した。内戦をめぐっても，国連，周辺国，キューバ，米国などが軍事介入し，この間約７万5000人の犠牲者を出したといわれる。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050911