ジャマイカ（政治・経済）

ジャマイカは英国女王を元首とする立憲君主制で，英連邦加盟国である。このため女王の権限を代行する総督が任命されている。議会は二院制で，上院は総督による任命制，下院は民選である。独立前に労働組合を中心に結成されたジャマイカ労働党と人民国家党の２大政党制が確立されている。政権は1976年以来人民国家党が掌握していたが，社会主義路線をめぐる対立や経済危機を背景として情勢が悪化し，80年に政権は労働党に移行，親米路線へと転じた。以後両党がほぼ交代で政権を担当しているが，現在では４期連続で人民国家党の政権である。外交面では非同盟グループの一員としての立場を堅持し，南北問題などで積極的な外交を展開している。カリブ共同体（CARICOM）の主導国でもある。米国との関係は一時冷却していたが77年に改善され，以降米国をはじめとする西側諸国との関係強化に努めている。主要産業は，鉱業，農業，観光業で，鉱業はボーキサイト（世界第４位），農業は「ブルー・マウンテン」の名で知られるコーヒー，サトウキビ，バナナなどが主な産物である。観光も貴重な外貨収入源で，ジャマイカ経済の支柱の１つである。今後の経済の中長期的な課題は，引き続きインフレの抑制，金利の引き下げ，内外の投資促進による民間活力の引き上げ，生産性向上などである。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050951