セントビンセント・グレナディーン諸島（政治・経済）

英連邦加盟の立憲君主国で，英国女王を元首とし，女王の権限を代行する総督が任命されている。国会は一院制で，13の小選挙区から選出される15名の選出議員と６名の選任議員（４名は首相，２名は野党党首の推薦に基づいて総督が任命する）で構成されている。外交関係ではカリブ共同体（CARICOM），カリブ開発銀行，東カリブ諸国機構（OECS）に加盟し，カリブ海諸国と緊密な関係にあるが，このほか英国，カナダ，米国とも主に経済を中心に密接な関係にある。経済的には農業が主柱で，主にバナナ，くずうこん，コプラ，サツマイモ，ココナツなどを産出し，労働力の約３割が農業従事者である。このほかに沿岸漁業も盛んで，魚の冷凍工場もある。1980年代以降観光業が急速に発展し，主産業の１つになってきている。主産物のバナナの品種改良や，柑橘類をはじめとする農産物の多角化にも取り組んでいる。しかし，経済成長を支えているのは，公共投資と外国からの直接投資であり，経済の安定化を図るため，政府は国内貯蓄の増加を強く奨励している。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050966