セントルシア（政治・経済）

セントルシアは英連邦加盟国で，英国女王を元首とする立憲君主国である。このため女王の権限を代行する総督が任命されている。憲法は1979年２月の独立時に発効した。政体は議院内閣制で，議会は上院と下院の二院制である。上院は11名の選任議員（このうち６名は首相の，３名は野党党首の推薦により総督が任命し，残り２名は総督が直接任命する）からなり，下院は17名の選出議員からなっている。政権は独立時は統一労働者党（UWP）が掌握していたが，独立後初の下院選挙においてセントルシア労働党（SL P）が勝利した。その後も，UWPとSLPが政権交代を繰り返している。97年からSLPのアンソニー政権となり，2001年に再選している。外交関係では，74年以来カリブ共同体（CARICO M）の加盟国であり，カリブ海諸国との関係を重視するとともに，米英との関係も重視している。97年台湾と断交，中国と国交を樹立している。主要産業は農業で，長年サトウキビを主作物としていたが，近年はバナナ，ココナツ，ココア，果物，いも類などが主作物となっている。工業はラム酒醸造，柑橘類加工などであるが，英国，米国，カナダなどの経済援助により軽工業振興が計られている。一方観光事業もセントルシア経済の大きな収入源ではあるものの，観光に関連する他産業の伸びが見られない。特に94年後半から，ハリケーンが襲来しバナナの生産量が落ち込み，また2001年は米国同時多発テロの影響で観光客が減少した。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14050973