バハマ（政治・経済）

バハマは英連邦の一員で，英国女王を元首とする立憲君主国である。行政は議院内閣制で，首相は下院に過半数の議席を持つ多数党党首またはこれに準ずる者を総督が任命する。また議会は二院制で，上院は定数16，このうち９名は首相，４名は野党党首，３名は両者の合議による推薦でそれぞれ総督が任命する。下院は定数40で直接選挙で選ばれる。独立前の1967年以降，進歩自由党（PLP）が政権を担ってきたが，92年自由国民運動（FNM）が圧勝し，25年振りに政権交替が行われた。しかし2002年の総選挙でPLPが圧勝，政権の座に返り咲いた。外交は，英米およびカリブ海英連邦諸国との協調を基本としており，この国に無関係な国際問題には不介入を原則としている。1997年台湾と断交，中国と国交を樹立したが台湾との経済関係は続けている。主要産業は観光業と銀行業である。快適な気候，白砂の海岸と珊瑚礁に囲まれた暖かい海を利用した観光業に大きく依存しており，外貨収入の半分を占めている。また租税回避地（タックスヘイブン）政策をとっていたが，タックスヘイブンリストからバハマを削除するため，2000年末には金融部門強化のための９つの法案が可決された。近年建設部門の投資，観光部門の消費などほぼ全部門において改善が見られ，失業率も低下した。01年米国で起きたテロ事件，ハリケーンの影響を受けたが，03年には経済は上向きに転じた。農業は野菜栽培が主で，水産業ではエビがとれるが，食糧はほぼ全面的に輸入に依存しており，失業の解消と食糧増産が政治課題となっている。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14051028