スリナム（政治・経済）

スリナムは立憲共和制国家で，元首は大統領である。行政，立法，司法の三権分立制が憲法で定められ，立法権は国会，司法権は最高裁判所がそれぞれ行使することになっている。正副大統領は国会が３分の２の多数決で選出，内閣は大統領が国会議員から選任し，首相職はない。また国家評議会があり，大統領が議長，国会の政党代表10人，労使代表各２人，軍代表１人で構成する。法案を提出したり，国会で成立した法律を憲法違反と判断すれば停止することができる。1999年から変動相場制に移行したが，インフレが進行し，反政府デモが起きている。軍はしばしばクーデターの動きを見せているが，政府および議会はこれをおさえ，オランダ，米国，米州機構の支持を得ている。外交面では旧宗主国オランダとの強い紐帯を基軸に，世界各国との関係促進，経済的・文化的紐帯の強いカリブ諸国との連帯強化を重視している。非同盟路線が基軸だが，カリブ共同体（CARICOM）には加盟し，積極姿勢をとっている。隣国ガイアナおよび仏領ギアナとの間に国境問題がある。産業はボーキサイト産業を主としている。同産業はGNPの３分の１を占めているが，国際市況の変動に左右されやすいため，財政は不安定である。そのほかアルミ関連産業，金，石油が開発されつつある。アルミナの国際市場価格低迷や放漫財政のため，ハイパーインフレーションが生じ，社会不安が増大した。漁業はエビ，農業は米，砂糖，バナナが主なものである。現政権は再び構造調整的政策を実施し，徐々に経済は安定してきているが，予断は許さない。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14051106