チリ（政治・経済）

アジェンデ政権の崩壊後，軍事政権を経て1989年憲法を改正して民政に復帰した。大統領が最高権力者で内閣を組織し，首相職はない。2005年８月の憲法改正により，次期政権より大統領任期は６年から４年に短縮された。ピノチェト元大統領は軍事政権時代の市民虐殺・拷問・人権問題で国の内外から告発され，98年英国で逮捕。2000年帰国し，裁判が開始されたが，健康上の理由により，02年裁判は停止，終身上院議員を辞任し政界から引退した。軍事クーデター発生から30年が経過した03年，軍が過去への反省と政治への非介入の姿勢を明確にしたため，国民和解の進展が見られる。06年１月決選投票でミチェル・バチェレ候補が勝利し，同国にとり初の女性大統領が誕生した。外交面では中南米諸国，欧米，アジア太平洋諸国と交流を深める多角外交を進め，APECに加盟している。かつてはチリ硝石の産地として有名であったが，現在は銅が世界第１位。アジェンデ左翼政権，ピノチェト軍事政権と長期にわたる経済の混乱から脱却し，自由開放主義経済を推進，農水林野部門の発展に力を入れている。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14051114