ペルー（国のなりたち）

プレインカ，インカ，スペイン植民地という歴史的色分けを持ち，紀元前1000年頃にはすでに文明が芽生え，チャビン，モチカ，ナスカなどのアンデス文明が栄えた。なかでも1200年代，クスコを中心に北はエクアドルから南はチリ中部に至る大帝国を築き上げたインカは，強力な中央集権制の下に繁栄した。1533年にスペイン人ピサロの征服であっけなく崩壊し，以来スペインの南米支配の一大拠点としてペルー副王領が置かれた。19世紀初め，南米各地で独立気運が高まる中，アンゼルチンを解放したホセ・サンマルチンが1820年にリマに進攻してスペインからの独立を宣言。23年には南米北部の解放運動家シモン・ボリーバルの軍隊がスペイン王党派軍を撃滅し，ペルーの独立が完成した。83年硝石の採掘権をめぐってチリとの戦争（太平洋戦争）に敗北，南部のアリカ地方を失った。一方，1968年のクーデターでベラスコ革命軍事政権が成立するまでは，オリガルキアと呼ばれる寡頭支配層が長く権力を掌握し，軍政も依然として続いていた。79年に民政移管を公約して憲法を公布，80年に民政に復帰した。90年には日系人初のアルベルト・フジモリが大統領に選出されている。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14051144