エリトリア（政治・経済）

1997年５月に新憲法を制定した。EPLFのイサイアス書記長が大統領に就任し民選政府の樹立に向け暫定政権を発足させたが，いまだに民政移行はなっていない。大統領が行政の長で，内閣は国家評議会といい，大統領が任命，首相職はない。議会も暫定で，EPLFが改称した「民主正義人民戦線（PFDJ）」の中央委員会メンバー75人と地方議会議員など60人で構成している。エチオピアと国境西部のバドメ地区（この地域には金鉱脈がある）をめぐって戦闘が行われたが，2000年和平合意がなされた。しかし，その後も国境問題の解決は図られず，現在も膠着状態が継続している。国家再建のため西側諸国との関係緊密化に努め，非同盟諸国会議に加盟しているが，中国，ロシア，東欧諸国から武器供与を受けている。約30年続いた戦闘の間に経済は疲弊し，また飢餓も発生している。国際機関，諸外国からの食糧，経済援助に頼っているのが現状である。エリトリアはかつてアフリカ有数の工業地域であったが，長期にわたる内戦により工場や港湾などの施設は破壊された。2000年世界銀行は，経済再建のため緊急復興計画を策定した。資源としては金，大理石などがあるが，紅海の漁業，石油，天然ガスの採掘に期待がかけられている。主な農産物は，根菜類，豆類，大麦，小麦などである。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14051202