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セーシェル(政治・経済)


独立後は旧宗主国イギリスとの友好親善関係維持を基調に穏健な中立政策をとり,内政面でも産業の開発,特に観光事業の促進という賢明な方策を進めたが,1977年政変が起こると一転して社会主義路線を打ち出し,ソ連と国交を樹立,中国,北朝鮮と友好を深めるなど左寄りの政策を進めた。ソ連は同国を海外補給地として利用することをねらい,一方米国は衛星追跡ステーションを置くなど米ソ角逐の場ともなった。93年に至り新憲法が制定され,独立以来初の複数政党制による選挙が行われた。ルネ前大統領は2006年まで任期を残していたものの,04年退任を発表,副大統領ミッシェルが新大統領に就任した。ルネ政権の長い一党独裁に対する不満の解消,また近年のマイナス成長率に見られるマクロ経済問題の解決が今後の課題である。現在政権は比較的安定しており,非同盟の立場に立って西欧諸国のみならず,リビアイラク北朝鮮などとも幅広い外交を展開,また国営企業民営化など経済改革路線を推進している。行政権大統領に集中しており,内閣は大統領が任免,首相職はない。英連邦に加盟,周辺諸国とインド洋委員会を結成して地域協力を進めている。主産品は,ココナツ,シナモンコプラグアノ(鳥糞石)などで,これらを輸出し,食料品や日常必需品を輸入している。政府が力を入れているのは観光事業で,マヘ島,プラスラン島,ラディゲ島などの島々は静かで海は美しく,観光地として有名になってきている。現在では観光業がセーシェル経済一の産業となっている。観光業と並んで発達しているのが水産業で,主にマグロを収穫し,冷凍,缶詰などにして輸出している。今後は経済の多角化小規模工業の育成をめざす。




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「世界各国要覧」
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