ソマリア（国のなりたち）

古来からアラブ人が渡来し，15～16世紀には現在のモガディシオ付近にイスラムの土侯国が形成された。19世紀の欧州列強によるアフリカ分割で，北部は1887年に英国保護領，南部は89年にイタリア保護領に分断されたが，1940年にはイタリアが全域を占領。第二次大戦のイタリア敗北で，英国が全土を軍政下に置いた。48年に北部は英保護領，南部は国連決議によって50年に暫定的なイタリア信託統治領となったが，英領は60年６月，信託統治領は同年７月それぞれ単独で独立，７月１日をもって国家統合し，ソマリア共和国として新たに発足した。しかし，独立後はクーデターが相次いで政情が安定せず，70年に実権を握ったバーレ政権は，社会主義国家を宣言しソ連軍基地を設置して一党独裁の強硬策をとり続けた。また，独立当初から周辺諸国に居住するソマリ人を対象に領地の回復をめざす「大ソマリア構想」を掲げてアフリカ諸国から反発を受け，エチオピアのオガデン地区をめぐる領有権紛争では敗退して大量の難民を抱え込んだ。80年代初頭からは反政府武装闘争が表面化，北部ではソマリランド共和国が分離独立宣言を行うなど，内戦は激化する一方。92年国連はPKOを派遣したが多数の犠牲を出して失敗，武装28派といわれる各勢力が入り乱れての内戦状態に陥り，以来指導者のいない無政府状態が続いている。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14051383