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南アフリカ(国のなりたち)


狩猟採集民のサン族(ブッシュマン)や牧畜民のコイ族(ホッテントット)が先住していたが,15世紀頃に農耕民のバンツー系が南下して定着した。白人の入植は,1652年にオランダ東インド会社ケープ植民地を設けたことに始まるオランダ人入植者(ボーア人)は徐々に大していったが,英国人の入植は1795年,英国海軍がケープ植民地を占領したのがきっかけである。やがてボーア人と英国人との対立が深まり,1835~43年ボーア人は英国人の圧迫を受けて内陸の北東部に大移動したものの双方の摩擦は収まらず,1880~1902年に2度にわたるボーア戦争へと発展。その結果全域で英国の支配権が確立され,1910年に英国自治領南アフリカ連邦を発足させた。48年ボーア人の優位を主張して結成された国民党が政権を奪取,61年には英連邦を離脱して南アフリカ共和国として再発足した。この国は1910年代から少数の白人が大多数有色人種支配する仕組み徐々に整備し,その象徴的存在が黒人に対する分離・隔離政策のアパルトヘイトであった。このため,国際社会から経済制裁を含む猛反発を食らって孤立,万策尽きた国民党は,90年に「アフリカ民族会議ANC)」ほかの黒人解放組織を合法化すると発表,対話によるアパルトヘイト廃絶に向かって踏み出した。白人と黒人両勢力による話し合い国際的な支援もあって極めて順調に進み,94年5月全人種参加の総選挙が行われ,圧倒的勝利をおさめたANCマンデラ議長が大統領に就任,白人支配に終止符を打った。南アフリカ中央政府が置かれる行政上の首都プレトリアのほかに,立法上の首都は国会があるケープタウン,司法上の首都は最高裁判所のあるブルームフォンテーンで,事実上三権分立合わせた3つの首都を持っていることになる。




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「世界各国要覧」
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