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モーリシャス(政治・経済)


元首を英国の女王エリザベス2世とする立憲君主制の下に独立したが,1992年3月改正憲法が発効して共和制に移行,インドの政治体制をモデルとした大統領制が発足した。元首は大統領であるが,実権は首相にある。議会制民主主義の定着した安定した国家で,95年,97年,2000年の政権交代も混乱なく行われた。05年7月の総選挙では野党連合が勝利,ラングーラム労働党党首は5年ぶりに首相に返り咲いた。外交は先進国との経済協力を重視する現実路線をとっているが,国民にインド系住民が多いことからインドとの関係が深い。インド系住民とアフリカ・欧州人の混血であるクレオール人との人種的対立があり,そのために政情は不安定であった。経済上は英国との関係が密接であるが,文化的にはフランスとの関係が深い。ソ連,中国など社会主義国とも早くから国交を結んできた。南部アフリカインド洋の域内協力も推進している。主要産物は砂糖と茶で,特に砂糖は産業の大宗を占めていたが,近年ではこれに金融,繊維,観光が加わっている。特に観光は“インド洋コートダジュール”とうたって急進展している。モーリシャスと,その東北方インド洋のほぼ中央に位置するディエゴガルシア島は,ともに英国の支配下にあったが,モーリシャスは独立にあたってディエゴガルシア島を含むチャゴス諸島を英国に売却した。その後,米国は英国と交渉して50年間租借,この島を軍事・補給基地として強化しつつある。これに対しモーリシャス政府は,同島の返還を強く要求し,インド洋非武装化の実現のために全力をつくす旨を強調している。




東京書籍
「世界各国要覧」
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