モーリタニア（政治・経済）

1984年クーデターでタヤ政権が成立，周辺諸国の民主化を受け，大幅に自由を認めた新憲法を制定，1992年には民政移管した。同年の大統領選挙でタヤ大統領が当選，97年に再選された。しかしその後，クーデター未遂などが発生，2005年８月タヤ大統領不在時に軍部が政権を掌握。その結果「正義と民主主義のための軍事評議会」が設置され，今後２年以内に各種選挙が実施されるとしている。大統領が最高権力者で首相を任命する。非同盟中立が外交の基本。フランスをはじめとする先進諸国との関係強化を進めている。アラブ・マグレブ連合，アラブ連盟に加盟しているが，イスラエルと国交を持ち利益代表部を相互に設置している。そのため他のイスラム諸国とは緊張関係にある。また西アフリカ諸国経済共同体（ECOWAS）から2000年に脱退している。主産品は，農牧業ではソルガム，粟，米，牛など，漁業ではタコ，エビなどの甲殻類，マグロがある。労働人口の約半分が農民，耕地面積は全土のわずか１％という貧しい国であったが，豊富な鉄鉱石，銅などの資源が発見，産出され，水産物と並んで主要輸出品となっている。また，ヌアクショット沖合で石油と天然ガスの埋蔵が確認され，今後は石油開発による安定した収入が得られる見込みである。一方，乱獲による水産物の減少が懸念されている。IMF，世界銀行のプログラムを実施，着実に債務削減に努力している。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14051536