モロッコ(政治・経済)
1990年代から民主化が推進され,92年,96年と憲法改正を重ねてきた。議会は従来一院制であったが,97年から二院制が導入されている。国王が国家元首であるが,国内に反王制の活動も少なく,政局は安定している。99年前国王ハッサン2世が逝去し,モハメッド6世が即位した。同国王は,基本的に前国王の政策を継承する一方,大胆な人事刷新を行い,新体制固めを推進している。また,社会問題や教育問題など国民に軸足をおいた政策を重視。非同盟,親欧米が基本だがアラブ世界では柔軟かつ現実的な姿勢をとっている。地中海に面してセウタとメリリャの2つのスペイン領植民都市があり,モロッコはその返還を求めている。また南の旧スペイン領西サハラ(面積266,000k㎡)の領有権を主張している。91年に停戦合意したが,依然統治している。また,2002年にはペレヒル島をめぐりスペインと対立している。主産業は農林水産業であるが,GDPに占める割合は少ない。最も重要な産物は良質の燐鉱石で,輸出量は世界有数である。最近は,迷路のような街フェス旧市街やマラケシュ旧市街などの世界遺産や,大アトラス山脈,中アトラス山脈の自然景観などの豊富な観光資源を生かし,観光立国となっている。
| 東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14051544 |